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倉敷市の市債残高の推移:2024年度は約3,216億円——会計別に読む

前回の記事で、倉敷市の財政力指数は1998年度に1を割り、2024年度は0.82を扱いました。税収と需要のバランス——財政力指数——を読んだあと、今回は市債残高を見ます。年度末時点の借入残高です。

目的は同じです。倉敷市の財政サイクルを読むこと。この記事では実績値のみで追います。推計は入れません。グラフの終点は2024年度にそろえています。

2024年度末時点の全会計の市債残高総額は、約3,216億円です。

目次

市債残高と会計区分——読む前に押さえる用語

市債残高は、会計年度末時点の借入残高です。この記事では残高だけを見ます。発行や償還の話はしません。

倉敷市の市債残高は、一般会計・特別会計・企業会計の三つを軸に読みます。

一般会計債は、福祉や教育、道路整備など、住民サービス全般のためにする借金です。

特別会計債は、特定の目的や特定の事業のためだけにする借金です。主に国民健康保険、介護保険が含まれます。倉敷市では2024年度末時点、特別会計債残高は約1.5億円と極小で、この記事では詳細グラフを出しません。

企業会計債は、水道や病院など、利用料をもらって運営する「ビジネス(公営企業)」のための借金です。

臨時財政対策債は、国から地方自治体に配る「地方交付税」の足りない分を、地方自治体自身が借り入れで穴埋めする特別な地方債です。略して臨財債(りんざいさい)とも呼ばれます。返済に要する元利償還金は、将来、国が全額を地方交付税で賄うことになっています。一般会計の市債のうちに位置づけられ、2001年度に系列に登場しました。2024年度末の残高は約778億円です。

一点、会計区分の事実だけ触れます。令和元年度(2019年度)、下水道事業が地方公営企業法の適用を受け、特別会計から企業会計へ移行しました。会計別のグラフ(図1)では、下水道事業を除いた企業会計債・特別会計債として見るため、切り替え年にグラフ線が急変する形にはなりません。下水道事業債そのものは、後述の図4で一本の系列として読みます。

会計別に見る市債残高:2007年度から

1枚目は、会計別の市債残高の推移です。この記事の主役のグラフです。

図1:会計別の市債残高(2007–2024年度)
図1:会計別の市債残高(2007–2024年度)

データは2007〜2024年度、すべて倉敷市の財政(財政公表)由来です。

2007年度末時点では、全会計総額は約3,850億円、臨時財政対策債を除くと約3,551億円です。内訳では、下水道事業債が約2,099億円、臨時財政対策債が約299億円でした。

2024年度末時点では、全会計総額は約3,216億円、臨時財政対策債を除くと約2,439億円です。下水道事業債は約943億円、臨時財政対策債は約778億円、下水道を除く企業会計債は約248億円、下水道を除く特別会計債は約1.5億円です。

全会計総額は、ピークから減少方向にあります。内訳で見ると、下水道事業債の長期減少が目立ちます。2000年代以降は、臨時財政対策債の存在により、総額と臨財除くの線が分岐します。下水道を除く企業会計債は横ばい〜小幅、下水道を除く特別会計債は極小のままです。

一般会計債の長期推移:1968年度から

2枚目は、一般会計債の長期推移です。

図2:一般会計債残高(1968–2024年度)
図2:一般会計債残高(1968–2024年度)

データは倉敷市統計書由来です。1968〜2024年度を見ています(1967年度は欠損)。

1968年度の一般会計債総額は約31億円から始まり、1990年代後半〜2000年代に急増します。2000年度は約1,447億円で、臨時財政対策債はまだありません。2001年度に臨時財政対策債が約19億円で登場し、一般会計債総額と一般会計債総額(臨財除く)が分岐します。

ピークは2023年度の約2,036億円です。2024年度は、一般会計債総額が約2,017億円、臨時財政対策債が約778億円、一般会計債総額(臨財除く)が約1,239億円、一般単独事業債が約473億円です。

内訳では一般単独事業債などが目立ちます。個別債種の評価はここではしません。

企業会計債(下水道除く):上水道と市民病院

3枚目は、下水道を除いた企業会計債の推移です。

図3:企業会計債(下水道除く)残高(1967–2024年度)
図3:企業会計債(下水道除く)残高(1967–2024年度)

データは倉敷市統計書由来で、1967〜2024年度です。

いま存続している事業は、上水道と市民病院とモーターボート競争が中心です。モーターボート競走事業(ボート)は、債権を発行したことはなく、残高は常にゼロです。観光・交通・自動車運送は、廃止事業の名残として線が残っています。

2010年代後半、市民病院の借入残高が増加しています。

2024年度末時点では、上水道が約187億円、市民病院が約62億円、ボートが0円です。合計は約248億円(下水道を除く企業会計債)です。

下水道事業債:1989年度から

4枚目は、下水道事業債の長期推移です。

図4:下水道事業債残高(1989–2024年度)
図4:下水道事業債残高(1989–2024年度)

1989〜2006年度は下水道事業経営戦略、2007〜2024年度は倉敷市の財政(財政公表)由来です。2019年度の会計区分切り替え(特別→企業)があっても、図4上は下水道事業債一本の系列として読めます。

1989年度は約530億円から始まり、1990年代〜2000年代前半に急増します。ピークは2005年度の約2,110億円です。その後は長期減少し、2024年度は約943億円です。

まとめ

財政サイクルを読む入口として、倉敷市の市債残高を会計別に見ました。

  • 2024年度末の全会計総額は約3,216億円(図1)。2007年度の約3,850億円比では減少
  • 内訳の規模が大きいのは、下水道事業債(ピーク2005年度約2,110億円→2024年度約943億円)、臨時財政対策債、一般単独事業債の三つ
  • 図ごとにデータ出所が異なります。グラフ内では同一ソースを使い、図をまたいで同じ項目の数値は突き合わせません

ざっくり言うと、2000年以降は財政健全化が進んでいる、と個人的には感じます。

財政力指数の記事とあわせて読むと、倉敷の財政サイクルの輪郭がより立体的に見えてくると思います。

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