先日、「水島でエチレン製造が2030年目途に止まる」、というニュースを見ました。
水島コンビナートの「大きな数字」は、ニュースのあとどう変わっていくのか。気になっていたので、倉敷の製造品出荷額等の長い推移を調べてみました。
2023年出荷分の倉敷市は、約5.5兆円(554,883,238万円)。市区町村のランキングでは全国第2位——1位の豊田市に次ぐ数字です。
いずれも国の産業統計の実績値だけを使います。推計は入れません。なお、調査は長いあいだ工業統計調査が中心でしたが、現在は経済センサスや経済構造実態調査に引き継がれています。年によって出典と集計の定義が異なるので、グラフを読むときはその点に注意してください。
岡山県内では断トツ、倉敷市の製造品出荷額等
まず、岡山県のなかで倉敷市がどのくらいの重みかを見ます。
1枚目は、2023年出荷分の岡山県内ランキングです。

岡山県全体で約9.6兆円。そのうち倉敷市が約5.5兆円、県内シェア57.78%です。県の製造品出荷額等の半分超が、倉敷市に集中しています。
2位の岡山市は約1.1兆円(11.96%)。倉敷との差は歴然です。県庁所在地とはいえ、製造業の規模では倉敷が際立っています。
市区町村では全国第2位
岡山県内だけの話ではありません。全国に視点を広げても、倉敷市の製造品出荷額等は大きい。
2枚目は、2023年出荷分の全国TOP10です。

1位は豊田市(約20.5兆円、国内シェア5.50%)。2位が倉敷市(約5.5兆円、1.49%)。3位は市原市(約5.1兆円)です。
大阪市・名古屋市・横浜市といった政令指定市も、倉敷より下に並びます。タイトルの「全国2位」は、市区町村どうしの比較という意味です。
倉敷市合併直後の1968年からの推移
倉敷市の製造品出荷額等を、いつから追えるか。
3枚目は、1968年から2023年までの倉敷市の推移です。

系列の起点を1968年に置いているのは、昭和42年(1967年)2月の三市合併(倉敷・玉島・児島)のあと、暦年1年分として最初にそろえた出荷年だからです。
1968年の倉敷市は約0.5兆円(0.47兆円)でした。1980年には約3.7兆円まで伸び、その後は3〜4兆円台で上下した時期が長く続きます。2000年は約3.0兆円(3.01兆円)まで落ち込みました。
直近は再び増え、出荷額のピークは2022年の約5.8兆円(5.83兆円)。2023年は約5.5兆円です。
グラフ上の段差には注意が必要です。2007年調査から「転売収入等」が製造品出荷額等に加わるなど、定義の変更があります。とくに2020年から2021年は、工業統計から経済センサス・経済構造実態調査へ調査が切り替わり、4.6兆円台へ跳ねたように見える年がありますが、これは実態の急拡大というより調査制度の変更と読むべきです。前年比の増減としては語りません。
倉敷市の全国での割合を追う
倉敷市の出荷額が増えても、全国全体の伸びより遅ければ、シェアは下がります。4枚目は、その割合を追ったグラフです。

緑の面は倉敷市の製造品出荷額等(兆円)。右軸の破線は、倉敷市が全国の製造品出荷額等に占める割合(%)です。
黄線は全国の出荷額指数——1968年を1としたときの全国の伸び方です。全国の実額(数百兆円)をそのまま載せると倉敷の線が見えなくなるため、指数で並べています。全国の「大きさ」ではなく、伸びのペースを比較するための線です。
シェアは、1980年に1.74%で最高を記録。2000年には1.00%まで落ち込みました。2023年は1.49%——直近では回復傾向にあります。
まとめ
倉敷市の製造品出荷額等を、岡山県内・全国・時系列の三つの視点から見ると、次の輪郭が浮かび上がります。
- 岡山県内では57.78%——県の製造業の過半
- 市区町村では全国第2位(2023年出荷、約5.5兆円)
- 1968年の約0.5兆円から半世紀で拡大。シェアは1.74%(1980年)→1.00%(2000年)→1.49%(2023年)
倉敷の経済を語るうえで、製造業——とくに水島臨海工業地帯——の重みは無視できません。一方で、数字の跳びは調査の切替や定義変更の影響も受けます。実績値を追うときは、グラフと注記をセットで読んでください。
